3.質問タイムから、フリートークへ 研究者+訪問者

Q細胞シートは、亡くなった方のヒトの細胞から作るのですか、それとも自分の細胞から作れるのですか。

A iPS細胞からβ細胞へ分化を誘導するのはまだ時間がかかりそうなので、現状ではなくなった方の細胞を利用しています。

 

Q膵島細胞シートを作製するときには、膵島をさらにバラバラにするのですか。

Aはい。バラバラすることによる細胞のロスもあるかもしれませんが、細胞シート状にすると細胞が再構築されて、細胞構成は実際の膵島の構成比に似たものになっていました。

 

Q膵島の細胞は増えないのですか。

Aはい。膵臓の細胞や心臓の細胞は増えません。だから、とってきた膵島の純度を上げることや、分離方法の研究が課題となっています。血管内に移植すると、免疫反応で70%くらい消えてしまうという報告もあります。その意味で血管外に移植できれば、患者の負担も少なく、細胞も効率よく利用できるのではないかと思います。また、細胞の凍結保存を研究しています。現在は新鮮な細胞しか使えませんが、凍結保存ができるようになれば、多くの細胞が使えるようになります。

 

岡野先生 『450年前に決められた規制に縛られ研究が進まない日本』

iPSができるまでは、有効に使える組織を使えばいいのに、現在、手術場で使って余った細胞ですら使えない。そういうものが治療に使えなかった4050年前に決めた規則に縛られ、細胞で患者を救える時代になっているのに使わせない。角膜の移植で余った細胞を研究に使いたいのに使えない。

だから、海外からよれよれになった細胞を買ってきて研究に使っている。研究に使えるように仕組みをつくるべきで、これは国民のためである。移植もできない、細胞も使えない、お金を持っていって海外でみんなやって下さいじゃ、そんな国相手にされない。技術がないわけではないんです。

本気で、「病院」と「政府」と「国民」が考えようという時代が来た。膵臓や心臓の細胞は増えないのでiPSが出てくるまでは、自分の家族の、おじいちゃんやおばあちゃんの膵臓の細胞を保存しておくとか、そういうものを使えるようにするとかも考えなくてはいけない時代に来ている。

 

岡野先生 『戦っているのは患者も研究者も同じ。お互い情報を交換しながら前へ行こう』

日本の医学研究というのは、論文をいっぱいに書かないといけないので、患者のことを忘れている。私はアメリカにしばらくいたが、アメリカの基礎研究者は患者を見ている。自分の書いた論文をどう患者にやるかというところの話をやらなくてはいけないということを、徹底的に若い時から言われている。このことを日本に帰ってきて若い医師たちに僕が言い続けないと、みんな心が折れてしまう。

それでなくても研究者は忙しくて、格闘技のようなものである。だからこそ、どこにゴールを置くかをちゃんとしたほうがいい。研究は世の中のため、患者のためをゴールにする。僕はこの研究所をそういう研究所にしたいと思っている。

志の高い人は世の中にいるので、支え合うということだ。そういう研究者が前に立つので、是非患者さんもがんばっていただきたい。患者さんに希望が与えられるというのは研究者も嬉しい。お互いに知ってもらったり、情報を出し合ったり、励まし合ったり、戦っているのは患者さんだけでなく、研究者サイドもがんばっている。

医者になったら、研究やらない方が楽でいい人生もあるだろう。むしろ、治そうと思ったとたんに苦難な人生が始まる。でも、その苦難な人生に喜びを感じている志の高い先生がいるので、その先生を励ましてほしい。

患者さんも「私もがんばっているから先生もがんばってね」、医師たちも「我々もがんばっているから患者さんもがんばって。」と、お互いにいい情報交換しながら前に行く。再生医療学会の広報でも市民公開講座なども開催している。すごく難しくてわけのわからない先生も多いが、分からないなりに頑張っていることは雰囲気でわかる()。そういう触れ合いを通して、お互いに頑張りましょう。こういう雰囲気が日本の中にできてくると、日本からいい研究が出てくると思う。

 

この後、TWInsの施設を見学させていただき、本音ベースでいろいろお話しました()

 

みんなの本音_____________________

(細胞シートはいつできるのという問いに対して)正直ベースで言うと、10年でできるかもしれないし、できないかもしれない。でも、やりたいと思ってやり続けていればできる。できると思ってやり続ける人がいると、予測するのは難しいけど、できる。

膵臓は心臓と違って細胞数が少ないので、心臓より短い期間で開発できるかもしれない。膵臓の役目はインスリンを出すことなので表面積で稼げる。心臓のように厚くしなくてもいい。組織にするということより、細胞をどうするかの方がむしろ問題。

このような治療の情報を早く正しく知りたい。病気の人はやはり自分にできるかを考える。

研究の途中段階でも、正しく情報を知りたい。治療の選択肢もいろいろあるので、自分で選択できるためにも、研究の正しい情報が知りたい。

こういった治療について、主治医に言ってもダメだ。

今は上手く繋がる仕組みができていないので、学会や患者団体の代表が情報を吸い上げることが必要だ。

コストについて研究者も聞かれるが、正直分からないところもある。例えば装置が地域に1台しかなければコストもかかるが、その装置が量産されれば一気に安くなる。今の段階では答えられないことを患者さんにも知っていただいて、どうするかを決めていただくしかない。そういう情報をお互いが共有することが必要。

医者の側も、患者さんは免疫抑制剤を使うことと、普段インスリンを打つことと、どっちがいいかということをあまり聞けないでいる。

患者も、研究を進める上で、何が問題になっていて、どこの機関のどの部分を変えればいいのかわからない。患者自身が動くことが力になるのであれば考えないといけない。

厚生省の役人は、「この方法で50%よくなるけど、1%は怖い。」という時はどうするか。その場合、今の日本ではやらない。このときに患者さんのたちの方からある程度のリスクはしょうがないという声があがれば違ってくるかも。でも、自分の家族だったらと考えると難しいが。

1型糖尿病は数が日本で5-10万人と中途半端で、希少疾患にしては数が多すぎる。だから予算が付きにくい。また、私たちはインスリンを使っていれば生命維持はできるので、とりあえずおいといてとなっている?我々が助かるために他の難病の人が困るなら、それはそれで申し訳ないので、そこまで自分たちがやっていいのかとも思う。

輸入超過という面から言うと私たちは海外の薬品をガンガン使って海外に金を流している。

そんなふうに海外にやってもらっているばっかりの日本は嫌です。

いっそ、日本の医療で世界中の糖尿病を治してしまうとか。